環境

気候変動への取組み

気候変動への取組み

住信SBIネット銀行は、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同を表明しております。

ガバナンス

当社グループは、環境・社会課題を経営上の重要事項として捉え、サステナビリティに関する活動・推進をするため、経営会議の諮問機関として「サステナビリティ委員会」を設置し、四半期に1度開催しております。「サステナビリティ委員会」では、社会・環境問題に対する活動方針や経営戦略について討議し、各部門の活動計画等に反映しております。取締役会は、当該連絡会で討議、報告された内容について報告を受け、進捗や課題などを確認しながらサステナビリティ経営の推進に取組んでおります。

戦略

当社は、気候変動が金融業界にも影響を及ぼす重要な課題の1つであると認識しており、環境・気候変動への対応を経営戦略における重要課題として位置付け、取組みを進めています。
気候変動に対応する取組みを進めるにあたって、当社では、TCFDが提唱するフレームワークを参考にしたシナリオ分析の手法を用い、2030年時点における外部環境の変化を予測することで、当社の主要事業となる住宅ローンポートフォリオを対象とした分析を実施しました。

分析の時点
2030年時点における外部環境の変化を予測し、分析を実施。
分析の対象
当社の主要ビジネスである住宅ローンポートフォリオ

気候変動に関するシナリオ分析の手法

気候変動に関するリスクと機会の整理および2030年の社会変化と変化への対応策の検討を踏まえ、当社財務への影響を分析しました。
シナリオは1.5℃シナリオ、4℃シナリオを想定し、それぞれ各種機関によって整理されたシナリオも参照しつつ、パラメータや社会変化の水準についての想定シナリオの内容を整理しました。

分析のステップ
1.リスクと機会の整理

気候変動に伴う事業におけるリスクおよび機会となりうる項目を検討し、影響度が大きい項目を抽出

2.財務影響の分析

抽出したリスク・機会による2030年時点での当社事業への財務影響を、下記シナリオ想定に基づいて定量的に分析

3.対応策の検討

財務影響分析を踏まえ対応策を検討し、気候変動リスクに対するレジリエンスの評価や機会の取込みによる成長方針を検討

シナリオの想定
シナリオ 概要 主な参照シナリオ
1.5℃シナリオ
  • 2050年にCO2排出ネットゼロを目指す等、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて1.5℃未満に抑制するため、2℃シナリオ以上に各国における政策・規制が強化されるとともに、社会における環境や気候変動への意識も現状に比べて大きく高まる
  • 環境配慮型住宅の割合が拡大し、新築の環境配慮型住宅への融資において競争が激化することが想定される。
  • IEA World Energy Outlook 2023.
    Net Zero Emissions by 2050 Scenario
  • IPCC SSP1-1.9
4℃シナリオ
  • 既に実施済みの政策に加え、公表済みの政策が実現されることを想定したシナリオであり、政策・規制は1.5℃シナリオよりも弱い想定。CO2の排出量も当面は増加する可能性があり、社会的にも環境や気候変動への意識は現状の延長線上で推移する
  • 災害の激甚化に伴い、特に災害多発地域やハザードマップ圏内における住宅の担保価値低下により、リスクアセットが増加する可能性がある。
  • IEA World Energy Outlook 2023.
    Stated policies Scenario
  • IPCC SSP5-8.5

気候変動のリスクと機会の認識

私たちは環境方針に則って、前述の前提と手法に基づいた気候変動に関するリスクと機会の分析を行い、以下のとおり認識しております。

リスク認識

当社主要事業である住宅ローンポートフォリオに着目した場合、気候変動に起因するお客さまの直接的な被災による与信コストの増加(急性リスク)、建材価格高騰による新築価格の上昇を受けたモーゲージ市場の縮小(慢性リスク)、さらに、温暖化対応コストの上乗せや建材価格高騰による住宅の取得コスト上昇等、住宅取得難度の高まりによるモーゲージ市場の縮小や気候変動未対応物件の担保価値毀損による与信コストの増加(移行リスク)等、気候変動によって将来的に様々な影響が想定されます。
 また、上記各リスクは同時に、預金のお取引や資金決済等ご利用いただいているお客さまにとっても、短期的/長期的に生活コストの上昇をもたらし、余資運用縮小や支出抑制の観点から、これらのお取引が減少する等の可能性も想定されます。

機会認識

気候変動をリスクと捉える一方で、それは同時にお客さまの新たなニーズにお応えできる機会でもあると認識しております。
環境変化による災害対策・新技術導入工事、あるいはそれらに対応済の住宅への転居や建替え、またより被災可能性の低い地域の住宅の取得に際しての資金ニーズが生じることで当社ビジネスの拡大機会が生じる可能性があると認識しております。また、気候変動にあらかじめ配慮・適合した優良住宅販売業者と提携したローン等、お客さまの潜在的なニーズをくみ取った資金提供ができる機会もあると考えられます。
その他、環境に配慮した商品・サービスの提供等、新しい機会を提供できる可能性もあると考えております。

リスクと機会の評価と対応策

想定される各リスクのうち、財務影響が最も大きいと考えられる住宅ローンビジネスに与える影響を中心に、その他の業務等へ影響するリスクに関して評価を実施しました。2030年の営業利益計画値をベースラインに設定し、財務的影響が大きく、定量評価が可能なリスク・機会項目を1.5℃シナリオと4℃シナリオでそれぞれ試算しました。気候変動に起因するお客さまの直接的な被災による与信コストの増加においては、国土地理院のデータを基に、水害が発生した際に、当社の各担保物件が受ける被害率を計算し、当社事業に与える与信コストの増加額を試算しています。
試算結果としては、財務に特に大きな影響を及ぼすものではない水準に留まることを確認しております。合わせて、個別案件ごとにリスクを計量化したことで地域差などを把握し、今後のリスク管理高度化への活用を検討していきます。
なお、シナリオ分析において抽出・評価されたリスクについては、リスクを低減するための対応策を推進しておりますので、いずれのシナリオにおいてもレジリエンスを有していると想定します。
さらに、リスク低減のための対応策と並行して、気候変動に関する機会を活用した新製品・サービスや新規事業の開発も推進していくことにより、より一層の当社の成長へと繋げてまいります。

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リスク・機会 事業へ影響するリスク 影響
1.5℃
影響
4℃
対応策
リスク 移行リスク 市場 住宅ローン 取組減少(住宅販売減少) 温暖化対応コスト上乗せによる新築価格上昇に伴い、住宅市場が縮小するリスク 市場全体の縮小リスクはあるものの、市場の中でも伸びるセグメントと想定される環境配慮型・災害対応型住宅に対し、優遇ローンの設計や、住宅メーカーとの提携の拡大等、当該セグメントへ注力を行うことでカバーする。
法規制の強化等に伴う木材など資材価格や新築価格が高騰するリスク
法規制や新築住宅の機能向上により、中古住宅価格が下落し、中古住宅の供給が不活発化するリスク
担保価値低下 既存住宅全般の新技術未対応により建物価値が低下するリスク 建物性能に応じた金利優遇やプレミアムの見直しなど、信用コストに見合う商品設計を行う。
物理的リスク 急性 コンシューマローン 延滞、貸倒増加 被災による死傷や家屋毀損など返済能力の喪失リスク 現状において同様の事象の発生は少なく、本件により信用コストはカバーできていることから影響は軽微と想定。
住宅ローン 担保価値低下 被災可能性の高い特定のエリアにおける回収率の低下リスク 将来の被災リスクに応じた金利優遇やプレミアムの見直しなど、信用コストを反映した条件設定・商品設計を行う。
業務運営 中断・停止 風水災害の被災、熱中症・疫病等のパンデミック、災害・新技術対応等による自社事業の運営中断・不能、コスト発生のリスク 事務所・データセンター等において、被災リスクの高い地域・エリアに立地しているものはなく影響は軽微と想定されるものの、災害の増加に備えBCPの見直し・訓練を徹底する。
慢性 住宅ローン 取組減少 建材価格高騰による新築価格上昇に伴い、住宅市場が縮小するリスク 2030年段階では影響は軽微と想定されるが、市場の中でも伸びるセグメントと想定される環境配慮型・災害対応型住宅への注力を行うことでカバーする。
機会 市場 住宅ローン 資金需要増加対応 災対工費や新技術導入のための設備購入・移住(新築・中古市場共に) 災対・環境配慮等一定基準をクリアした優良住宅販売業者との提携ローン販売や、物件属性に応じた優遇ローン等の商品の充実等により機会の獲得を図る。
担保価値良化 環境配慮型・災害対応型物件のシェア向上による信用コストの低下
製品・サービス 預金・資金決済・融資 新サービスの展開 既存事業における環境配慮型新サービスの展開による収益獲得の機会 環境に配慮した商品・サービスの提供等で機会の獲得を図る。
新規事業 環境関連ビジネス 環境配慮型新規ビジネスの機会拡大 カーボンクレジット事業等の環境関連ビジネスの創出・拡大の機会を獲得する。

リスク管理

当社では、収益の追求または損失回避のため、リスク管理を行うことをリスク管理方針で定めています。このリスク管理方針のもとリスク統括部を統括部署として、リスクの特定、評価、運営、モニタリング、コントロールおよび削減の一連の活動を通じてリスクの状況を的確に把握し、事業年度ごとに策定するリスク管理計画をもとに必要な措置を講じております。
2023年度は、リスク管理計画に基づき気候変動による移行リスク、物理的リスクの特定・評価および影響分析を実施しました。今後も気候変動に関するリスク管理の高度化に取組んでまいります。

指標と目標

当社グループでは、指標と目標を以下の通り定めております。

  • 指標:GHG排出量
  • 目標:2030年度までに当社グループの排出するGHG排出量 (Scope1・Scope2)を実質ゼロとすること

当社グループでは、自社契約電力の再エネ化や、オフィスの省エネ対策を進めるとともに、カーボンクレジットプラットフォームビジネスおよびDXプラットフォームビジネス等を通じて、環境負荷軽減への取組みを進めてまいります。

GHG排出量
(単位:t-CO2) 対象 FY2021 FY2022 FY2023
Scope1 住信SBIネット銀行
優良住宅ローン
0 0 0
Scope2※1 ロケーション基準 住信SBIネット銀行
優良住宅ローン
1,666 1,757 1,252
マーケット基準 1,573 1,626 751
Scope1,2
小計
ロケーション基準 住信SBIネット銀行
優良住宅ローン
1,666 1,757 1,252
マーケット基準 1,573 1,626 751
Scope3 カテゴリ6(出張)※2 住信SBIネット銀行 - - 91
カテゴリ7(通勤)※3 住信SBIネット銀行 - - 198
Scope1,2,3
合計
ロケーション基準 - 1,666 1,757 1,541
マーケット基準 - 1,573 1,626 1,040
  • ※1
    Scope 2排出量(電力)は、オフィスやデータセンターの電力使用量の実測値(一部、推計値を利用)に、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく電気事業者別排出係数一覧の排出係数を掛けて算定。
  • ※2
    出張は従業員の出張費から算定。交通手段別の出張費の金額を算出し、それらの金額に環境省の「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース」 の排出原単位を掛けて算定。
  • ※3
    通勤は従業員の通勤費から算定。交通手段別の通勤費の金額を算出し、それらの金額に環境省の「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース」 の排出原単位を掛けて算定。